日本で不動産を購入する際、物件価格とは別にさまざまな税金と付随費用が発生します。こうしたコストを事前に把握していないと、資金繰りが崩れたり、想定利回りが下がったりします。ここでは、不動産取得時に関係する代表的な3つの税金――登録免許税、不動産取得税、消費税――を実務目線で整理します。
1. 登録免許税(Registration and License Tax)
所有権移転登記や抵当権設定登記を行う際に課される国税です。所有権移転登記の原則税率は「固定資産評価額 × 2.0%」が目安です。住宅関連では期間限定の軽減措置が設定され、1.5%や0.3%に下がる場合があります(制度適用には条件あり)。
計算イメージ:固定資産評価額 3,000万円の建物なら、登記部分だけで概算 60万円前後になる可能性があります。
※司法書士報酬や登録免許税軽減の適用可否で総額は変動します。
2. 不動産取得税(Real Estate Acquisition Tax)
土地や建物を取得すると都道府県から課税される地方税です。購入後しばらく(目安 6ヶ月~1年)して納税通知書が届くことが多く、「忘れたころに来る税金」とも言われます。原則税率は土地・建物とも 4.0% ですが、居住用等で軽減され 3.0% 程度になるケースがあります。課税標準は都道府県が算定する評価額であり、契約価格と大きく異なる場合がある点に注意してください。
3. 消費税(Consumption Tax)
土地は非課税ですが、建物には原則 10% の消費税がかかります。ただし「誰から買うか」で扱いが変わります。
個人が売主:多くの場合、非課税(建物でも課税されないケースが一般的)。
法人が売主/デベロッパー物件・新築:建物価格に消費税が課税。契約書で建物価格と税額を必ず確認。
実務上のヒント
登録免許税や不動産取得税の軽減措置は申請期限や必要書類があるので、早めに司法書士・税理士へ相談。
「契約価格の〇%でざっくり計算」は危険。評価額ベースで試算すること。
法人で購入する場合、条件次第で消費税の仕入控除(実質還付)を受けられる可能性がありますが、適格請求書(インボイス)対応や課税事業者要件などハードルが上がっています。
まとめ(Takeaway)
不動産取得時の税金はキャッシュアウトのタイミングも金額もばらつきが大きく、資金計画に直結します。購入前に「どの税金が」「いくら」「いつ発生するか」を整理しておくことで、予期せぬ資金ショートや利回り低下を防げます。制度は改正されることがあるため、最新情報は必ず専門家に確認してください。

