日本の投資用不動産では、融資条件がキャッシュフローと売却出口を左右します。特に固定金利と変動金利の選択は、返済額と金利リスクの背骨です。本稿では両者の使い分けと、短期賃貸運用での注意点を整理します。
1. 固定金利と変動金利の基本
固定金利は契約期間を通じて金利が一定です。返済額の予見性が高く、長期保有や安定賃料の物件と相性が良いです。変動金利は基準金利の動きに連動し、短期的には低金利を享受できる一方、上昇局面では返済額が増えます。投資家が負うのは、固定では再投資リスク、変動では金利上昇リスクです。
⸻
2. 返済額の感応度の考え方
返済は一般に元利均等で組まれます。金利が0.5%上昇すると、同じ残債と残期間でも年返済は増えます。金利感応度は借入金額が大きいほど、残期間が長いほど高まります。金利の上振れ余地を年収や家賃収入のバッファでどこまで吸収できるかを先に確認します。
⸻
3. 短期賃貸での要点
短期賃貸は稼働率とADRの季節変動が大きく、月次キャッシュフローのボラティリティが高い傾向です。オフシーズンを基準に返済余力を評価し、変動金利を選ぶ場合はキャッシュリザーブを3か月から6か月相当確保すると安全度が上がります。価格改定により収益を伸ばせる局面では、繰上返済や金利タイプの見直しでリスクを抑えます。
⸻
4. 物件タイプ別の適合
築浅レジや法人賃貸のように賃料が安定し空室率が低い物件は固定金利で長期に守る戦略が機能します。リノベ再販や運用改善でNOIを増やせる物件、また短期賃貸で立ち上げ段階にある物件は、初期のキャッシュフローを重視して低い初期金利が得やすい変動を選ぶ合理性があります。
⸻
5. リファイナンス判断
事務手数料や保証料を含めた総コストを年利換算し、金利差が0.3%から0.5%以上、かつ保有予定期間が3年以上なら乗り換えを検討しやすくなります。短期賃貸ではレビューと稼働が安定しADRが上がった局面で、DSCRとLTVが改善しやすく、条件交渉に有利です。
⸻
6. まとめ
金利タイプの選択は収益の安定性とリスク許容度の調整です。固定は予見性、変動は柔軟性が強みです。短期賃貸は季節要因を織り込み、現金バッファとリファイナンス計画を前提に設計することで、金利環境が変わっても健全なキャッシュフローを維持できます。

