短期賃貸や民泊を運営する際、消防設備の設置と点検は法令上の義務であり、怠ると営業停止命令や**罰金(30万円以下)**の対象となります。特に都市部の小規模物件では「住宅用途だから不要」と誤解されやすいため、正確な判断基準を押さえる必要があります。
1.義務の判断基準
住宅宿泊事業法届出を行った物件でも、宿泊者が不特定多数であれば旅館・ホテル同等の防火基準が求められるケースがあります。
延べ面積300㎡未満の木造建物は、誘導灯・消火器・火災報知器の3点が基本。300㎡以上または3階建以上の場合、自動火災報知設備の設置が義務となります。
用途変更を伴う場合は、建築基準法第87条に基づく手続きも必要です。
2. 点検と報告の実務
消防設備は6か月に1回の機器点検、1年に1回の総合点検が原則。点検結果は消防署長宛に報告書提出が必要です。
委託する場合、消防設備士資格者または防火管理者資格者への依頼が必須であり、報告書写しを3年間保管します。
3. 例と実務対応
例:ワンルームマンション1室(25㎡)で住宅宿泊事業を届出。延べ面積100㎡未満、木造2階建。
必要設備は消火器1本、住宅用火災報知器(寝室・廊下)、誘導灯(玄関付近)。
運用前に消防署で**「防火対象物使用開始届出書」**を提出し、立入検査で不備がなければ営業開始可能。
4. まとめ
消防設備は民泊運営の最重要インフラです。設置・点検・報告を怠ると罰則だけでなく信用を失います。
**「規模」「構造」「宿泊人数」**を基準に設備義務を判断し、半年点検・年次報告を継続することで、安全性と収益性を両立できます。

