日本で不動産を購入したあと、運用段階における大きな選択肢のひとつが「管理会社に委託するか、それとも自主管理にするか」という点です。どちらにもメリット・デメリットがあり、物件の種類や投資目的によって最適な判断が異なります。本稿では、実務面での判断基準と、コストや対応範囲における具体的な違いを整理します。
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1. 管理委託の基本内容と費用目安
管理会社に委託した場合、以下の業務を任せることができます
・入居者募集(広告、内見対応)
・賃貸契約の締結・更新・解約手続き
・家賃回収・滞納督促
・設備トラブル対応・修繕手配
・退去時の立会い・原状回復確認
費用は**月額賃料の3〜5%が目安で、契約時に別途新規契約手数料(1-1.5ヶ月分程度)**が発生する場合もあります。
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2. 自主管理のメリット・リスク
・自分で管理することで管理費用を削減できる
・入居者や建物の状況を直接把握できる
という利点がありますが、
・緊急対応や法的手続きに時間と労力がかかる
・トラブル発生時に適切な対応ができない可能性
などのリスクも大きく、特に遠方在住者には不向きです。
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3. 判断の実務ポイント
次のような観点で自主管理できるかの判断することが重要です。
・物件所在地が自宅から車で30分圏内かどうか
・物件が単身者向けワンルームかファミリー向けか(後者は管理対応が複雑)
・複数戸保有しているかどうか(件数が多いほど管理委託が有利)
・本業の有無(会社員などは自主管理が困難)
また、民泊やマンスリーなど短期賃貸物件は、専門知識と対応スピードが求められるため、基本的に委託管理が推奨されます。
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事例紹介
千葉県にある築20年の1Kマンション(10戸)を所有するオーナーは、当初自主管理をしていたが、月1回の現地巡回と家賃管理、退去時の原状回復などに対応しきれず、2年目から管理会社に委託。年間約40万円の管理費がかかるようになったが、空室期間が短くなり、実質利回りは向上したという。
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まとめ(Takeaway)
管理委託か自主管理かの判断は、物件の所在地・戸数・運用スタイル・本人の可処分時間に応じて最適解が変わります。遠方物件や複数戸を保有するケースでは、管理会社との契約によって安定運用と収益最大化が見込めるため、費用対効果を定量的に検討するのが賢明です。

