2025年版 不動産取得税の実務ガイド:住宅の軽減と土地の減額の計算式

2025.10.1

目次

1. 基本税率と適用期限

不動産取得税の標準税率は家屋が4%ですが、一定の要件を満たす住宅土地3%の軽減税率が適用され、期限は令和9年(2027年)3月31日までです。税額計算の基礎となる価格は固定資産評価額であり、売買価格ではありません。

2. 家屋(住宅)の軽減

新築住宅は課税標準から1,200万円を控除(長期優良住宅は一部地域で1,300万円)し、その残額に**3%**を乗じます。中古住宅も新築時控除額と同額を控除できます。

3. 土地の軽減(二段構え)

第一段階として課税標準を1/2に圧縮(2027年3月31日まで)。第二段階として算出した税額から、次の高い方を控除します。

A. 45,000円

B. 土地1㎡単価 × 住宅床面積×2(上限200㎡**)× 税率3%

これにより土地の税額が0円になるケースも珍しくありません。

4. 申告と納付のタイムライン

取得後は都道府県税事務所へ申告(一般に60日以内、東京都は30日以内)。納税通知書は登記後3〜6か月程度で届くのが目安で、納期限は到着後およそ1か月前後です。

5. 事例(2025年取得・中古戸建て)

前提

建物の固定資産評価額1,800万円、土地評価額1,000万円、土地面積80㎡、建物床面積60㎡

家屋

課税標準1,800万円 − 1,200万円 = 600万円。税額600万円 × 3% = 18万円

土地(第一段階)

課税標準1,000万円 × 1/2 = 500万円。当初税額500万円 × 3% = 15万円

土地(第二段階の控除額の比較)

選択肢A 45,000円

選択肢B (500万円 ÷ 80㎡) ×(60㎡×2)× 3% = 62,500円 × 120 × 3% = 225,000円

高い方の22万5,000円を控除。結果15万円 − 22万5,000円 ≤ 0円で土地税額は0円

合計

不動産取得税は18万円のみ。

6. まとめ(実務の要点)

住宅は1,200万円控除、土地は課税標準1/2に加え45,000円または1㎡単価方式大きい方を控除するのがコア。申告期限納付スケジュールを前提に資金繰りと価格交渉を組み立てれば、取得後のキャッシュアウトを確実にコントロールできます。

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