物件を購入すると毎年発生する固定資産税と都市計画税は、キャッシュフローに直結する重要なランニングコストです。購入時の諸費用に比べ見落とされやすいですが、長期運用では利益を圧迫する大きな要素になります。制度の仕組みと計算方法を理解しておくことが不可欠です。
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1. 固定資産税の基本
固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課される地方税です。税率は原則1.4%で、課税標準は市区町村が算定する固定資産評価額です。評価額は実際の取引価格より低めに設定される傾向があります。
たとえば評価額が3,000万円の建物であれば、固定資産税は年間42万円程度になります。
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2. 都市計画税の概要
都市計画税は市街化区域内に所在する土地・建物に課税されます。税率は上限0.3%で、市区町村により異なります。都市計画事業や区画整理事業の財源として活用されます。
先ほどの例で評価額3,000万円の建物に0.3%が課される場合、年間9万円が追加負担になります。
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3. 実務上の注意点と事例
固定資産税と都市計画税は毎年4月から6月頃に納税通知書が届くのが一般的で、年4回の分納または一括納付が可能です。
あるオーナーは、初年度に予想外の合計50万円超の請求を受け資金繰りが厳しくなりました。事前に評価額を市区町村で確認し、ランニングコストを見積もっていれば回避できたケースです。
また、新築住宅では一定期間減額措置が適用される場合があり、事前に要件を調べておくと数十万円単位で負担が軽減されます。
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まとめ(Takeaway)
不動産取得後に必ず発生する固定資産税と都市計画税は、投資計画の初期段階から織り込むべきコストです。評価額と税率を正しく把握し、納付時期と金額を資金計画に組み込むことで、キャッシュフローを安定させることができます。
