賃貸契約を結ぶ際に避けて通れないのが敷金 礼金 保証金の取り扱いです。名称も性質も異なり、返金の可否やタイミングで入居者と貸主が揉めやすいポイントでもあります。本稿では各費用の違いを整理し、返金トラブルを防ぐための実務的な対策を解説します。
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1. 用語と性質の違い
・敷金 賃料1〜2か月分を目安とする預り金 原則退去時に精算し、未払家賃や原状回復費を差し引いた残額を返金
・礼金 賃料1〜2か月分が多い謝礼金 一度限りで貸主へ帰属し返金なし
・保証金 主に事業用物件で交付する大口預り金 退去時に30%前後差し引く地域慣習(関西圏の一部)あり
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2. トラブル防止の実務ポイント
・契約書に原状回復ルールと控除基準を明記
・入居時と退去時に写真付きチェックリストで傷汚れを記録
・国交省ガイドラインに沿って修繕費を按分し過剰請求を避ける
・返金時は内訳を示した精算書を発行し、振込記録を残す
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3. 事例紹介
東京都でワンルームを賃貸したケース 敷金2か月分20万円を預り 退去時にクロス張替え費用をめぐり貸主が全額控除を要求
入居時の写真に汚損が写っていたため、交渉の結果10万円のみ差引きで返金合意
契約時のチェックリストと写真がトラブル解決の決め手となった
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まとめ(Takeaway)
敷金は原則返金 礼金は返金なし 保証金は契約によって差引き率が決まると整理しておくことが重要です。入退去時の記録とガイドライン準拠の精算書を用意すれば、返金トラブルは大幅に減らせます。

